歯磨き粉でフッ素中毒を起こす?
お子様の虫歯予防や、矯正治療中の虫歯予防でフッ素は欠かせないものとなっています。
実際に、お口がネバネバした状態のお子様を「歯磨き粉つかってますか?」と聞いてみると、歯磨き粉を使ってない方も多いですし、その結果フッ素も使っていない場合が多いです。現在、お店でうっているほとんどの歯磨き粉にはフッ素が配合されていて、入ってないものを探す方が大変なくらいです。
さて、毎日使っている歯磨き粉をたくさんつけて、
毎日の積み重ねですし、フッ素が中毒にならないかどうか心配されることもあるかもしれません。
結論からいうと、通常につかっている歯磨き粉にはいっているフッ素でフッ素中毒になることはありません。
「すごいたくさん歯磨き粉つけてるけど、本当に大丈夫なの?」と言う方のために、
歯磨き粉でフッ素中毒を起こすにはどれだけ必要なのか計算した専門書をみてみましょう。
通常の歯磨き粉は、アマゾンで検索すると、130g入っているものが多いようです。
中途半端で計算しずらいですが、
通常の歯磨き粉130gに、通常のフッ素濃度1000ppmF 配合されているとすると、
130g=130000mg中に
1000ppm=1000/100万= 1/1000入っていることになります。
つまり、130g中には、130000mg x (1/1000)=130mg=0.13g入っていることになります。
わかりやすくすると、牛乳パック5本5リットル中に、小さじ一杯5gのフッ素がはいっています。
さて、この濃度で、フッ素の急性中毒を引き起こす始まりの濃度が、2mg/Kgといわれています。
体重20kgのお子様がフッ素中毒の始まりの濃度をだすためには、1000ppmFの歯磨き粉を何本のみこめば中毒がおこってしうのか計算しました。
2mg/kgなので、20kgの体重のお子様は、2mgx20=40mgとなります。
40mgのフッ素ということは、1000ppmFの歯磨き粉であれば、40mg体にはいるためには、40ml=40g必要だということになります。40gとは、一本の3分の1です。
大きなスプーンで、4杯分、一番高濃度のフッ素が入っている1450ppmの歯磨き粉であっても、大きなスプーンで、3杯分、一度にとりこまない限り中毒症状はおこりません。
ただし、心配なときは、牛乳を飲んでください。
飲み込んだフッ素は、体に取り込まれると、血液中のカルシウムと結合して、低カルシウム血症を引き起こします。牛乳を飲むことで、フッ素を牛乳のカルシウムとくっつけて、体に吸収するフッ素を少なくできます。
参考文献 新編 フッ化物をめぐる誤解を解くための12章+4つの新トピックス
ISBN978-4-263-44537-2 医歯薬出版株式会社
イラスト歯科素材.com